まず一言、言わせてください。
会議が多いし、さらに長い!
一般的なビジネスパーソンは、新入社員から定年までに、約3万時間を会議に費やすそうです。
1日の労働時間を10時間、年間の稼働日を250日とすると、サラリーマン人生のうち、12年間を会議に費やしていることになります。
会議をしているだけで、産まれたての赤ちゃんが、中学校に入学してしまうというとんでもない長さです。
これは何とかせねば!ということで、ダメな会議を例に時間を生み出し、効率的に進めていく方法を考えていきましょう!
ダメな会議 3選
1.そもそも集まる必要がない会議
忙しい時間をわざわざ合わせて集まる必要があるのは、複雑な議論と合意が必要な時だけです。具体的には、メール、チャット、資料だけでは伝わりにくい微妙なニュアンスを、相手の表情を汲み取りながら、話し合い、その内容を踏まえて合意する場面です。
一週間の会議の中で、複雑な議論と合意が求められる会議はどれだけあるでしょうか?
私の経験上、せいぜい2割くらいで、8割くらいが情報共有のための会議だったりしませんか?
さらに昨今は、オンライン会議が主流となり、場所を選ばすに招集できるため、とりあえず集まる会議が増える傾向にあります。
しかしながら、皆さんも薄々お気付きかもしれませんが、情報共有という名の定期的な連絡であれば、メールや資料共有で十分で、仮に集まったとしても資料の棒読みに価値はありません。
棒読みであれば、Siri で十分です。
そのような会議は、相手の時間を拘束し、自分の時間までもを犠牲にする、時間の浪費に他なりません。そのような会議を開催してしまっていないかを今一度ご確認ください。
では、どうしたら良いかについて具体的に考えていきましょう。
[対策1] 資料を事前送付し、「その内容に反論」がある時のみ会議を開催
これが出来ると、会議時間の大幅短縮に繋がります。会議時間がゼロになるため最も効率的です。ただ、会議の在り方を劇的に変えるには時間もかかるでしょう。前例主義の組織と軋轢を生む可能性もあります。その場合はこちら↓
[対策2] 資料を事前送付し、「議論を要する」ポイントに絞り、会議を開催
情報共有の部分と、議論する部分を明確に分けるという方法です。これだけでも、メリハリがつき、会議時間はかなり短縮されます。
しかしながら、忙しくて、事前に資料に目を通しておくのは難しいという方もいると思いますので、その場合はこちら↓
[対策3 ]会議冒頭の5分~10分で資料を読み込む時間を設定
実際に、誰かが読み上げるよりも、自分で読み込んだ方が早く、理解も深まります。その上で、議論したいポイントをピックアップして、議論を開始するようにしましょう。
ちなみに、amazonの会議は“沈黙から始まる“ことで知られており、まさにこのパターンです。社内で最も効率的な会議は、合意形成のみの会議と位置付けているそうです。
読めば全てわかる資料構成で、会議冒頭に資料に目を通す時間を設けるそうです。
皆が資料を読み終えた後、
「反論はありますか?」>ありません。
「それでは決議で良いですか」>はい。
というように会議が進んでいくのです。
時間に対しての意識の差が、このような急成長を生む一因かもしれませんね。
2.どうなったら終わりかわからない会議
終了条件が曖昧な会議です。
例えば、「○○の改善について」という漠然とした議題でスタートする会議があります。このような場合においては、「原因の特定と、その対策が決まったら終わりにしよう」などと最初に決めておくことが必要です。
それを確認しないと、「本当は原因の特定だけで良かったのに、」とか、「実は対策だけでなく、対策を実行する担当者まで決めるはずだった。」など、過不足が生じるなど、回り道をしてしまうリスクが高くなります。
会議の終了条件、つまりゴールを共有するだけで、そのゴールを目指した発言や質問が飛び交う、
質の高い会議になっていきます。ゴールの確認の重要性については、「新人の7つの心得」で紹介していますので是非、併せてご確認ください。
さらに、時間を意識するために、議題ごとの時間割りを設定しましょう。
そうすることで、時間内にまとめようという意識が強まります。
例えば、10分と設定した議題に、15分かかっていれば、次の議題は「少しスピードを上げよう」という意識が芽生えます。これを怠ると、会議終盤で「時間が押していること」を気づく可能性が高く、挽回する余地なく、タイムオーバーを招いてしまいます。
この終了条件(=ゴール)と時間割りの設定を忘れないでください。
3.決定事項を再確認していない会議
会議終了の最後の5分は議論内容をまとめる時間にします。
「誰が」、「いつまでに」、「何をするのか」を確認して会議は終了です。
amazonでは、「3つのWを決める」といい、会議の最後には必ず確認するのが慣例になっている程です。※ Who(誰が) 、When(いつ)、What(何を)
言われてみれば当たり前のことですが、徹底して出来ている方は、意外にも少なかったりします。
これを怠ると、「え、それ私の担当でしたっけ?」というように、後々コミュニケーションエラーが起こります。時には、1時間、2時間の会議が全部無駄になってしまうことがあるので侮れません。
以上、ダメな会議3選いかがでしたでしょうか?
「あれ、案外普通のことじゃない?」、「目からうろこのスーパーテクニックを期待していたのに・・・」という声が、聞こえてきそうですが、これだけです。
実際に、これらのテクニックを自然に使いこなしている方も一定数いらっしゃると思います。
それでは、なぜ、ダメな会議が撲滅出来ないか?について考えていきたいと思います。
ダメな会議がなくならない要因・対策
実は、ダメな会議を撲滅したいと願う一方で、ダメな会議を楽しんでしまう人間の欲求が関係しているからです。
要因:ダメな会議をこよなく愛する人がいる。
会議では、必ず上下関係が存在します。
その会議で一番偉ければ、自分の一挙手一投足に部下は注目してくれ、自分の指示通りに、操ることが出来るため、支配欲を満たせる場になります。
さらに、誰かに詰められることもなく、脱線しようが、時間延長しようが、この文章はおかしい?エビデンスはあるのか?計画が甘い?等々、厳しめな質問をしていたら、仕事をしている感が出るし、その後の修正作業を自分でやる訳でもない。
言うならば、病み付きのエンターテイメントです。こんなに楽しいことはありません。
偉くなればなるほど、会議で自分が一番偉いという場面は増えていきます。
しかしながら、会議参加者の中で、一番偉いというのは相対的であり、新入社員以外は、誰もが、加害者、被害者になるという二面性を持ち合わせています。決して、他人事ではないのです。
特に、社内で、「評論家」と言われる方々は、役職が上なだけに、常時この状態かもしれません。
早く救出してあげましょう。と言いたい所ですが、彼らには、改革するメリットはありません。
では、どうしたら良いか?
相手にメリットがない以上、お願いをしても変わるものではない。そのため、メリットの少ない若手が変えていくしかない!と思います。
ここで、若手の戦略を3つ紹介します。
対策1:会議=決議の場であることを気づかせる
ダメな会議の「3.決定事項を再確認していない会議」で、紹介したテクニックを使います。
出来るだけ下手に、ただ勇気を持ってこう発言しましょう。
この質問により、本来の目的を取り戻し、脱線していた会議の軌道修正が可能です。さらに、会議の本来の目的である“決議の場”ということを再認識させられます。
このように、辛抱強く、刷り込みをしていきましょう。
対策2: 議事録を取ることでさりげなく会議を支配する
「新人の7つの心得」でも紹介しましたが、議事録スキルは最強の武器になります。ただ議事録を取っているだけです。新人の雑用です。というテンションで議事録を率先して書きましょう。
議事録を取る権利を得られれば、さりげなく支配するために、ダメな会議3選で学んだ通り、最初に会議の終了条件と時間割を書きましょう。参加者と共有することで、脱線を最小限に出来るため、効果は段違いです。
対策3:質問に的確に回答し、信頼残高を増やす
質問への対応の仕方一つで、根堀り葉堀り確認されるか、ある程度を任せてみようと一任されるかが決まります。前者にカテゴライズされてしまえば、病み付きエンタメショーが始まり、会議は長引くだけ長引きます。
そもそも質問は、報告者の伝えたいことと、承認者の聞きたいことの乖離が要因の一つです。
「承認者目線を持て」と言ってしまえばそれまでですが、実は、質問の中にメッセージを隠していることが多いです。その隠されたメッセージを理解し、次に活かすことが出来れば、少しずつ質問も減り、会議も短縮されていきます。
簡単な例を挙げると、
- 「基本的な質問で恐縮ですが、」
隠しメッセージ:聞き手の知識レベルに合わせずに作成された“独りよがりの資料”です。 - 「私の知識不足が原因かと思いますが、」
隠しメッセージ:資料がいまいちで理解が出来ません。 - 「私が聞き逃したのかもしれませんが、」
隠しメッセージ:重要な情報が抜けています。 - 「ご存知かもしれませんが、」
隠しメッセージ:理解出来ていないと思うので教えてあげます。
誰もが聞きなじみのあるフレーズだと思いますが、意外と聞き流しているケースが多いと思います。毎回、同じことを言われてしまうと、「任せてみようという人材」には程遠く、隅々まで確認されてしまい、結果として会議は長引きます。
最後に、注意する質問が一つあります。
5.「素人質問で申し訳ないのですが、」
- 隠しメッセージ:正論でボコボコにします。
この質問は取り扱い注意で、反射的に答えないようにしましょう。質問者は大抵素人ではありません、むしろプロです。素人だと思ってマウントを取って返答してしまうと、正論で返り討ちにあい、KOされるまで会議は終わらなくなります。特に真摯な対応を心がけてください。
以上、隠しメッセージを拾い、学びに変えて、次に活かす!このテクニックも忘れないでください。
最後に
これまで紹介したテクニックが自然と実践できるようになれば、会議はどんどん効率的になっていくでしょう。それまでは、試行錯誤を繰り返しながら、全ては経験、勉強だと思って続けていってください。
人間誰しも、今この瞬間が人生の中で一番若く、今、この記事を読んでいただいている、この瞬間が一番若いです。今、この瞬間から変えられると信じて行動してみてください。
一緒に戦っていきましょう。
参考文献:
榊巻 亮(2015)
「世界で一番やさしい会議の教科書」
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佐藤将之(2020)
「amazonのすごい会議:ジェフ・ベゾスが生んだマネジメントの技法」
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