生産性モンスターになるための思考法|もう頑張らないでください!

生産性 Mind recipe

皆さんは、1日に何回、「頑張ります」と言っていますか?

仕事を進める上で、困難な課題に直面したり、当初の目標をクリア出来なかった時に、「頑張ります」と言って、残業や休日出勤で大切な時間を削って対応していませんか?

そうは言っても、ピラミット組織だから、上司から降りてくる仕事に対して、「頑張ります」以外の選択肢がないという意見も理解出来なくはありません。

ただ、この「頑張る」という延長線に、飛躍的な成果は望めない可能性があります。

「頑張らない」けど、成果を出していく。そんな思考法を身につけて行きましょう!

時代の変化

まず、飛躍的な成果に必要なことを考えて行きます。それは、物事の本質を捉え、時に仕組みそのものを変革していく力ではないでしょうか。

その観点では、ただ「頑張る」という人は、思考停止に陥っている場合が多く、単純な作業で、ToDoリストをいっぱいにし、消し込む作業に没頭したり、目的もわからないチェックシートにひたすら○を取るような、出来るだけ頭を使わない働き方になっていることがあります。

作業の量を増やすことで、問題が解決してくれればと願っているだけで、効率良くアウトプットを出そうという意識があまり強くないように見られてしまいます。

つまり、ここで抑えておきたいポイントは以下です。

頑張る ≠ ソリューション(問題の解決方法)

「頑張る」ことをよしとする働き方を続けても、目先の仕事に追われるばかりで、与えられた仕事の意味をじっくり考える余裕もなければ、仕事を心から楽しむことも出来ません。結果として、大きな課題を解決することも難しくなります。

そして、疲労感だけが蓄積していき、本当にやりたいことや、人生のミッションに時間や労力を避けなくなってしまいます。

それでも、頑張って、与えられたタスクをこなして、給料がもらえればそれでいいと言う方もいるでしょう。そのような働き方を否定するつもりはありませんが、環境の変化は着実に起こっています。

高度経済成長期の技術革新と大量生産、大量消費の時代のように、マンパワーで頑張りさえすれば、会社の業績も、給料も右肩上がりに伸びていった、あの幸福な時代は終わってしまったのです。

勤め先収入


参照:「3.経済 デフレの時代から景気回復へ」(総務省統計局)

さらに、デジタル化の波により、頑張って手を動かすだけの仕事であれば、IT(マクロ、RPA、Power Platform)ツールによる自動化やアウトソーシング(一部の業務を社外から調達)によって、どんどん自動化されていきます。

また、経済産業省が警鐘を鳴らす、「2025年の崖」という問題もあり、従来のようなマンパワーに頼る働き方を続けていると、デジタル化の波に乗り遅れ、世界的競争で取り残される懸念もあります。
経済損失は、2025年~2030年の間に、最大12兆円/年とも言われています。

その分岐点まで、あと3年です。

変わらなくては生き残れない”時代はすぐそこまでやってきています。

現に、周りを見渡した時に、自分が3時間かけてやる仕事を、ITツールを駆使し、涼しげに30分でやってのけてしまう人に心当たりがあるのではないでしょうか?

パラダイムシフト(当然だと考えられていた価値基準が劇的に変化すること)は現在進行形で、進んでおり、AIに代替される仕事も徐々に増えていくでしょう。

そうなった時に、あなたという存在は、AI以上の価値を生み出すでしょうか。あなた自身がAIに代替されてしまう前に、今一度、これから求められる人材について考えていきましょう。

これからの時代をリードする人材

これから求められるのは、主体的に、学び続けて、成長し続ける人材です。

ゼロから新しい価値を生み出し、自分にしか出来ない仕事を作り出し、「社会にインパクトを与えるような仕事をする」という大きなミッションと情熱を持つ人です。

ここで言うインパクトとは、同じ時間で生み出す価値が大きいことを指します。

わかりやすい尺度として、
労働生産性 = 産出(Output) ÷ 投入(Input)があります。

これは、単位時間当たり、どれだけのアウトプットを生み出せたかを示す値です。意識すべきは、アウトプットの大きさであって、どれだけ職場にいたかではありません。

生産性向上という言葉は日々、耳にするものの、残念ながら、残業大国の日本はとりわけ低いことで有名です。

労働生産性国際比較では、37カ国中、日本は26で、3位のアメリカの約6という結果です。日本人は、頑張っているのに、結果的に非効率な働き方になっているということを示しています。

世界の生産性

参考:「労働生産性の国際比較2020」 公益財団法人日本生産性本部

投入(Input)最小化

さて、現状把握をした所で、労働生産性 = 産出(Output) ÷ 投入(Input)を高めていく方法を考えていきます。

労働生産性を高めるには、投入を小さく、産出を大きくする必要があります。

投入で、真っ先に取り組めるのは、“同じ作業をより短時間”で終わらせることですが、“残業が多い人=高評価”という風習が根強く残っている企業の多いと聞きます。そうなってしまうと、時間対効果の意識が芽生える環境とは言えません。

また、厚生労働省が策定し、2019年4月から施行された「時間外労働上限規制」では時間外労働の上限は原則として、月45時間・年360時間と定められています。

それ故か、示し合わせたように、年間残業時間が360時間に収束するという現象もあると聞きます。これは、必要最低限の時間を目標にするのではなく、残りの残業時間から逆算した時間を目標にしてしまう心理が働いている可能性を示唆しています。

パーキンソンの第一法則:
「仕事量は完成のために与えられた時間の全てを満たすまで膨張する」

全ての方ではないにせよ、効率とは無縁の働き方になっているというのが実情と言えるでしょう。

このように、投入を小さくするためには、各個人の意識変革だけでなく、組織としても効率的に働くことへのインセンティブ(動機付け)が不可欠になります。

産出(Output)最大化

一方の産出は、生み出すインパクトを大きくすることが求められます。
そのために大切なのが、あれもこれもとエネルギーを分散させず、一点に集中する
という考え方です。

この考え方は、エッセンシャル思考と呼ばれています。

この記事を読んでいただいている方の中には、数多くのことを超一流に処理する桁違いのスペックをお持ちの方もいると思いますが、大多数の方は、そのようなスペックもエネルギーもありません。

この考え方は、そんな桁違いのあなたに、大多数の方が、勝つための唯一の方法になります。

エッセンシャル思考とは?

まず、エッセンシャル思考を理解するために、“非エッセンシャル思考の人”と“エッセンシャル思考の人”の特徴について紹介していきます。あなたはどちらのタイプかを考えながら読み進めてください。

▼非エッセンシャル思考▼

<考え方>
✔ 全ての事をやらなきゃいけない。
✔ 頼まれる仕事の全てが大事。
✔ 全てこなす為にどうすれば良いかに頭を悩ませる。

<行動>
✔ やることをどんどん増やしていく。

やることが多い人、単に手数が多い人を仕事が出来る人だと考え、上司の依頼に、反射時に「やります」と答える。「目的は何か?」、「やる必要があるのか?」という思考をはさまず、全て引き受けて、追われるように期限順に、仕事をこなしていくタイプ

▼エッセンシャル思考▼

<考え方>
✔ より少なく、より良くと考える。
✔ 何でもやろうではなく、大事な事だけやろうと考える。
✔ 捨てるのは前提で、何を捨てるかに頭を悩ませる。

<行動>
✔ 頭を悩ませて、捨てると決断した仕事をしっかり断る。

目的のない仕事、必要性がなく去年やったからという前年踏襲の仕事、を勇気をもって断り、捨てた上で、会社と個人の双方にメリットがある、効果の大きい仕事を優先するタイプ

非エッセンシャル思考に陥る罠

どちらのタイプだったでしょうか?

どちらかと言うと、非エッセンシャル思考の傾向が強かったのではないでしょうか?

そんな、あなたは優秀です。

ただ、優秀だからこそ、非エッセンシャル思考に陥ってしまっている可能性があります。仕事が出来ないから、処理が遅く、タスクが積み上がっていくと、一般的には考えてしまいますが、優秀だからこそ、タスクが積み上がっていき、破綻してしまうのです。

ここまで話すと、お気づきになられた方もいるかと思いますが、この一見矛盾しているかのように思える現象を、“成功のパラドックス”を例に解説していきます。

優秀な人ほど要注意!成功のパラドックス

まず、優秀な人は、目標を明確にして、成功へと一直線に進んで成果を収めます。

成功した結果、“頼れる人”、“出来る人”という称号を手にすると、「あの人に任せよう」という人が周囲で増えていき、多種多様な仕事を任されるようになります。

優秀な人は、優秀であるという自負があるので、依頼を一生懸命にこなして優秀であろうとする。こうなると、積み上げたものが崩れ去るカウントダウンが始まります。

やることが増え過ぎて、時間とエネルギーがどんどん分散していき、雑多な仕事に追われる余り、元々持っていた目標も見失い、思考停止し、ただただ目の前の仕事をこなすだけになっていきます。

そうなると、疲弊してしまい、優秀だった人が、中途半場な成果しか出せなくなる。

これが、成功したがために、成功に導いてくれた方向性、法則を見失ってしまうというパラドックスです。

過度な重圧や期待は相手を苦しめる結果しか生まないということで、仕事に限ったことではありません。

一度に全ては取れない!トレードオフの考え方

このような状態に陥らないために、どうすれば良かったか?

意識していただきたいのは、トレードオフを直視することです。
何かを選ぶ、つまり“決断“とは、決めて、その他を断つ(捨てる)ということです。

全てを同時に取ることは、現実的に出来ない”という当たり前のことを再認識することです。

例えば、非エッセンシャル思考の人の口癖として、「やらないより、やった方がいい」という言葉、やることにとりわけ意味はないが、やってもマイナスにならないから、とりあえず部下にやらせたいという時に使われます。その時々の状況にも寄りますが、きっぱり断った方がいいたぐいの仕事です。

ここで、考えるべきことは、その仕事を引き受けることで、犠牲にするものがあるということです。

その意味のない仕事をやらなければ、もっと意味のある仕事に時間が割けます。つまり、見えないマイナスを担当者、会社も負っているような状況です。

トレードオフを意識して、主体的に選択する
この当然の権利をまずは取り戻すことです!

その上で、勇気を持って捨てることで、余裕が生まれ、頭を整理する時間が確保出来ます。そして、価値の高い仕事に注力することで、生産性を爆発的に高める。このプロセスの先に、より多くの人の役に立ち、自己実現を果たすという未来が切り開けるのではないでしょうか。

これが捨てることの本当の目的です。

本質はたったの2割?パレートの法則で解説

ここまで聞いたところで、「そんなに捨てて良いの?」と躊躇される方もいると思いますが、大丈夫です。

パレートの法則(80:20の法則)に裏打ちされた実践的な手法だからです。
この法則は、ビジネスにおける全体の8割の物事は、全体の2割が生んでいるというものです。

例えば、
・会社の売上の8割は、2割の優秀な社員による成果
・仕事の成果の8割は、費やした時間のうちの2割で生み出している という経験則です。

日々仕事をしていると、全てが重要なことのように思えてきます。

しかしながら、冷静に見つめ直してみると、本当に大事な“急所となる仕事”は、全体の2割くらいで、残りの8割はあまり成果に直結していない“捨てられる可能性を秘めた仕事”だったりします。

自分の仕事で“急所となる2割”をまず抑え、そこにエネルギーを注ぎ込むために、それ以外の仕事を積極的に捨てていくことから始めていきましょう。

<参考文献>
ロバート・B・チャルディーニ(2014)「影響力の武器」

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ピョートル・フェリクス・グジバチ(2019)「ゼロから“イチ”を生み出せる!がんばらない働き方」

ゼロから“イチ”を生み出せる! がんばらない働き方 [ ピョートル・フェリクス・グジバチ ]

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感想(2件)


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感想(19件)

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