「鏡像の了解」
鏡に映った姿を自分と認める自己認知の始まり。
個の時代の幕開け
最近、「個の時代」という言葉をよく耳にするようになった。
従来の画一的な価値観ではなく、多様化する価値観を認め合い、個人にスポットライトを当てるという考え方。
大衆の中の一人から、一歩抜きん出る。
そんなことが当たり前になっていく流れ。
その中で必要となるのが、セルフブランディングという力。
読んで字の如く、個人にブランドを付けるという意味。
最近増えている会社員のメディア露出やタレント化も同様だろう。
”頼みの綱”であった、終身雇用制度も崩壊に片足を突っ込み始める中、この動きは止められない。
※ 詳細「子の心親知らず」を参照
そのため、「行動しなきゃ」と奮起している方も多いと思う。
だが、平日は朝から晩まで仕事漬け、土日は反動で屍のような生活。
時間の確保すら、容易ではない。
だが、まず1歩踏み出し、大変であっても、継続することでしか道は開けない。
そして、継続することで、大変という気持ちすらも楽しめる瞬間は、きっとくる(くると信じる)。
自己ブランディング
自己をブランド化していくに当たり、重要なのが他者との差別化。
あなたにしか出せない”付加価値”を載せるということ。
「他者を知るには、まずは己から」という言葉もあるように、
まずは自己を認知することがスタートライン。
あなたの人生の遍歴を紐解く時間。
時間をかけてやってみて欲しい。
きっと、あなたにしかない知識や経験がきっとある。
(あなたと全く同じ人生を歩んだ人は、この世に一人もいないのだから)
やり終わったあとは、自分の可能性を見出し、全身から力が漲ってくるはずだ。
自己認知の獲得過程
この自己認知、大人となった今では造作もないことだが、成長過程で獲得した能力の一つ。
生まれたての赤ちゃんを想像すると、手足をバラバラに動かし、全く統率が取れた動きではない。
オーケストラで言えば、楽器毎に指揮者が存在し、各々のタイミングで演奏をスタートするようなもの。
自己を俯瞰して認識することができていないという状態。
この過程を観察する方法としては、ルージュテストがある。
子どもの顔の一部に口紅を付けて、その姿を”鏡越し”で見せた時の反応を見るという実験。
鏡に映る自分を認知できれば、口紅が付着した部分に注目し、何らかの作用を起こすという仮定に基づいている。
結果としては、2歳前後で口紅に対して何らかの行動を示し、”現実の自分”と”鏡に映る自分”を区別できるようになるとのこと。
[Amsterdam, B. (1972). Mirror self-image reactions before age two. Developmental psychobiology, 5(4), 297-305. ]
息子を見ても、生まれて間もない頃は、鏡も他のおもちゃと同様の扱いで、興味すら示さなかった。
時が過ぎ、鏡に向かってニコニコするなどの変化はあれど、鏡を使って自分の身体を確認するという行為は見られない。
だが、その時は唐突に訪れる。
つい先日、夕食を食べ終えた息子が、何かを叫びながら小走りで洗面所に向かった。
洗面所で水遊びでも始めるのかと思い、止めようと後を付けた。
息子は、鏡に向かいニッコリしていた。
また、「ニコニコするやつか」と思っていたら、鏡越しに前歯を見ている。
「何してるのー?」と聞くと、
歯にお肉が挟まったんだよ!
取りたいんだけどー
と言い、手を口に突っ込み”挟まったお肉”と格闘。
まさに、自己認知を目の当たりにした瞬間だ。
明確な変化の瞬間に立ち会えると、感動すら覚える。
これから、どのような”個”になっていくのか楽しみだ。