「目は口ほどに物を言う」
情をこめた目つきは、口で話す以上に強く相手の心を捉える。広辞苑
親しい人の顔を想像してみてください。
妻、夫、両親、兄弟姉妹、恋人、友人、誰でも構わない。
この人と決めた人の顔をできるだけ細部まで思い浮かべて欲しい。
どの程度、細部までイメージできただろうか?
大半の方が、ぼんやりとしたイメージに留まり、目・鼻・口などの細部までイメージできた方は少ないだろう。
ここからわかるのが、見ているようで見ていないという事実。
人は相手をどのくらい見ているのか
では、実際にどのくらい相手を見ているのか調査していきたい。
今回は、「2人きりで会話する時間」と「会話中に相手の目を見る割合」の2つのデータから推測していく。
では早速、考えていこう。
2人きりで会話する時間
結婚5年以上、子どものいる36〜45歳の男女200人を対象として、「1週間で平均何時間、夫婦2人きりで会話するか?」を調査したアンケートの結果だ。
・1時間未満 :13.0%
・1時間 :26.5%
・2時間 :11.5%(中央値)
・3時間〜5時間 :23.5%
・6時間〜7時間 :4.0%
・8時間〜10時間 :12.5%
・11時間以上 :9.0%
7日でこの結果は、なかなか寂しい。
会話中に相手の目を見る割合
次は、2人1組として合計8組の会話から、目を合わせている割合を調査した実験結果。
(73%は、相手の目を見ていない)
・聞いている時に、相手の目を見ている割合は、87%。
(13%は、相手の目を見ていない)
ここで、会話している時間のうちの半分は話し役、もう半分は聞き役という仮定をおく。
会話はキャッチボール。
一方が持ちすぎても、投げすぎても成立しないからだ。
会話している時間をYとすると、目を合わせている時間は、0.5×Y×0.27+0.5×Y×0.87と表せる。
例えば、会話している時間が1時間の場合、
0.5×1×0.27+0.5×1×0.87=0.57となり、目を合わせている時間は0.57時間(約34分)となる。
会話時間の約半分しか目を合わせていないという結果。
1日に相手の目を見て会話する時間
以上を踏まえて、推測した結果がこちら。
5分未満 :13.0%
5分 :26.5%
10分 :11.5%
15分〜25分 :23.5%
30分〜35分 :4.0%
40分〜50分 :12.5%
55分以上 :9.0%
一つ屋根の下にいても、90%の方が、1日1時間も”目を見て会話できていない”ことがわかる。
見ていないものは、イメージしようもないというのが結論。
目からの情報を大事にする子ども達
かく言う私も、3歳の息子から、
パパ、ちゃんとこっち向いて話して!
と数日前に注意を受けたところだ。
彼らは、しっかり目を見て話している。
今日、こども園にお迎えに行った際も、数人の園児(2〜3歳)から、
何食べてるの〜?
と聞かれた。
ガムを噛んでいた。
ただ、マスクをしていたので注意を払わないと気づかないレベル。
「よく見てるな〜」と関心していると、
なんで汗かいてるの〜?
と続けざまに顔に関する質問が飛んでくる。
そうこうしている間に、小人達が集まり、私を包囲。
まさに、ガリバー状態。
小人達はクリクリな目で、私を直視。
「ごまかさないよね?」、「知っているよね?」、「これやってくれるよね?」と、目から色々なメッセージを浴びせてくる。
証人尋問前に、「良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、また、何事も付け加えないことを誓う」と宣言させられているかのような感覚。
そこは、裁判所。
お得意のその場しのぎのカードはきれず、一人一人に真摯に応対することになった。
側から見れば、神対応に見えたかもしれない。
ただ、それしか選択肢がなかったに近い。
私も幼少期の頃は自然と目を見て話せていたのかもしれない。
しかし、年を重ねると目を背けたくなる出来事もたくさん経験する。
その過程で、へそだけでなく、目までそっぽを向いてしまったようだ。
まずは現状に気づくことができた。
明日からは、小人達の目線に立って、話すことから始めてみよう。
目線が近いほど、きっと心も通うはず。