プログラミング初心者でもゲーム開発ができてしまう!?
そんな話題のツール「Unity」について、重要なポイントのみに絞って紹介していきます。
Unityとは?
2004年からUnity Technologiesが開発・提供している『ゲームエンジン』です。ゲームエンジンとは、ゲームを開発するために、必要な機能を1つのツールにまとめたものです。
一般的に、ゼロからゲーム開発をするには、高度なプログラミング技術だけでなく、数学や物理、エフェクト、サウンド、ブラフィックなど、たくさんのこと学ばなくてはいけませんでした。
しかし、Unityを使えば、そのような手間の一部を肩代わりしてくれるため、開発者はゲームの肝となる部分だけにエネルギーを注ぐことができるという特徴があります。これが 爆発的人気の理由の一つです。
従来:プログラミング、ゲーム企画、3DCG、数学、物理、素材、グラフィックス、サウンド、エフェクト
Unity:プログラミング、ゲーム企画、3DCG、数学、物理、素材、グラフィックス、サウンド、エフェクト
市場規模は?
ユーザ数:100万人以上(世界190カ国以上)
ゲームシェア:50%以上(スマホゲーム)
社会現象を巻き越した「ポケモンGO」の開発にも使われるなど、全世界から熱視線を浴びています。
何ができるの?
2D/3Dゲーム開発
当初、3Dゲーム開発用でしたが、現在は2D/3Dのどちらにも対応しています。
そのため、アクション、シューティング、RPG、アドベンチャー、レース、パズル、サンドボックス、音楽ゲーム、テーブルゲームなどを、思いのままに作ることができます。
物理シミュレーション
物理エンジンを備えているため、加速、衝突、重力を始めとする物理演算のシミュレーションが可能です。簡易に物理現象を可視化できるため、教育現場でも活用されています。
VR/ARの開発
近年、需要が急増しているAR/VR(仮想現実/拡張現実)の開発にも対応しています。昨今注目を集めているVTuber(バーチャルYoutuber)のモーションにもUnityが使われています。
使用料金は?
学生や個人の開発においては、基本機能を全て無料で使用できます。
(ただし、過去12か月の収益や調達した資金が10万米ドル(約1000万円)以下の方)
無料プランは「Personal」、有料プランは「Plus」、「Pro」、「Enterprise」があります。各プランで、性能や機能に大差はなく、有料プランは、優先的なバグ対応や必要なサポートが受けられるというメリットがあります。唯一、Personalでのデメリット?をお伝えすると、ゲーム開始時の起動画面(スプラッシュスクリーン)で、Unityロゴが表示されることくらいです。そのため、個人でゲーム開発を始めるにあたっては、「Personal」プランで十分です。
開発に必要なものは?
パソコンのみで、Windows、MacOSのどちらにも対応しています。
ただし、iOS(iPhone)用のゲームを作る場合はMacOS、Android用のゲームを作る場合は、Windowsを使用します。
ここがオススメ!
直感的な操作感
従来のゲーム開発においては、高度なプログラミングスキルが必須でした。しかし、Unityでは、マウスでドラッグ&ドロップするという直感的な操作で3Dモデルを配置することができたり、Unityエディタ上でのパラメータ変更で、カメラや照明などの位置変更も可能です。
これにより、複雑なプログラムを書かずとも、直感的にゲームを開発することができます。
豊富な開発リソーセス
ゲームを作るためには、イラストやモデル、音楽といった様々な素材が必要になり、それを全て自分で作るのは骨の折れる作業です。
そこで、UnityではAssetStore(アセットストア)という、素材(アセット)を購入する場所も提供されています。無料から有料のものまであり、入手した素材を使用して作成したコンテンツを販売して収益を得ることも許可されています。必要なアセットを探し、ご自身のゲームの中に取り込めるという非常に便利な仕組みです。
また、Unity公式サイトには、初心者向けのチュートリアルも豊富に取り揃えており、独学でも学習を進めることができます。
さらに、アクティブユーザが100万人以上いるため、インターネット上にはたくさんの情報が転がっています。検索によって、欲しい情報に素早くアクセスすることが可能です。
クロスプラットフォーム対応
Andoroid、iOSなどの異なるプラットフォームで、同じ仕様のアプリケーションを動作させる機能が備わっています。そのため、開発者は、様々なプラットフォームで動作するアプリケーションを、1つのプログラムで実現することができるため、効率良く開発を進めることができます。
様々なツールとの互換性がある
様々なモデリングツール(BlenderやMayaなど)との互換性があるため、他のツールで作成したモデリングデータを簡単にUnityに移植して使用することが可能です。
プログラミングによる拡張機能
C#、Javascript(プログラミング言語)により、自分だけのオリジナルの拡張が可能です。「Unity Script」と呼ばれる拡張機能を使って、独自の世界を作ることができます。
学習方法は?
Unity公式サイトのチュートリアルに加えて、より深く学びたい人向けに、筆者のオススメの書籍と学習サイトを紹介します。
おすすめ入門書 3選
【まずは動くゲームを作りたい方】↓
Unityの基本的な操作〜ゲーム制作手順まで幅広くカバーしています。完成プログラムがWebからダウンロードできるので、つまづいても動作を確認しながら進めることができます。
Unity2020入門 最新開発環境による簡単3D&2Dゲーム制作【電子書籍】[ 荒川 巧也 ] 価格:2,860円 |
【C#をじっくりと理解しながら進めたい方】↓
プログラミング言語C#のコツとつまづき易いポイントをわかりやすく解説しています。
Unityのツボとコツがゼッタイにわかる本 [ 薬師寺国安 ] 価格:2,860円 |
【ゲームを面白くする一工夫を知りたい方】↓
基礎〜応用まで幅広くカバーしながらも、ゲームの遊び心をふんだんに盛り込んで、楽しく学習を進めることができます。
【送料無料】 Unityの教科書 Unity2021完全対応版 2D & 3Dスマートフォンゲーム入門講座 / 北村愛実 【本】 価格:2,970円 |
学習サイト
【動画で解説を聞きながら学びたい】↓
学習のスタイルは、人それぞれ好みがあると思うので、自分にあった方法を選んでみてください。
各業界へ広がるUnity
今やUnityは、ゲーム業界だけでなく、幅広い業界で使用されています。
その一例をご紹介します。
自動車業界
Hondaでは、仮想空間で、走行可能な車両を素早く作成できるという特徴を活かして、インタラクティブな車両のデザイン案を1日で作成できるようになり、数週間かかっていたデザインレビューの工程を大幅に短縮するなど、効率化に貢献しています。
また、TOYOTAでは、車両の見積もりにおけるリアルなカーコンフィギュレーション(車種やグレード、ボディ色、内装色などを選ぶと、それが画面上に反映される)にUnityが活用されています。
建築業界
大林組では、Unityを使い、施工の進捗をサイバー空間上に再現し、施工管理を支援するアプリを実装して、現場監督の業務量を大幅に省力化・遠隔化に貢献したことで、付加価値業務に集中できる環境を実現しています。
また、竹中工務店の商業施設やマンションなどの建物の外観や内装をバーチャル体験できるVRシステム用ドーム「visiMax Mobile」も有名です。
飲食業界
積木製作が開発したマブロスは、アルバイトの接客オペレーションを実践できるVRコンテンツとして活用されています。お客様が来店時の接客の流れを、ヘッドマウントディスプレイを装着した仮想空間の中で、一つ一つ実践しながら学ぶことに活用されています。
医療業界
東京大学医学部では、体内の3Dモデルを用いて、手術の事前シミュレーションを行っています。患者固有のモデルを作成し、VRで事前に高精度なシミュレーションを行うことで、手術の戦略や検討の質が向上し、手術の成功率向上が期待されています。
キャリアアップへの足掛かり
このように、ゲーム業界以外でも積極的な活用が加速しています。つまり、Unityをマスターすることは、ご自身の業務の幅を広げたり、エンジニアやデザイナーとして転職するための足掛かりにもなります。
ぜひ、 Unityを始めて、クリエイターへの第一歩を踏み出しましょう!