「人工知能が作り出す芸術作品や音楽、文章などは、果たして誰のものなのか?」AI生成物の著作権に関する問題がますます深刻化する中、今回はその背景や現状、そして将来の展望について解説していきます。
Midjourneyの見解
公式チュートリアルのPolicies > Terms of Service に記載の内容の抜粋です。
4.著作権・商標権
本条において、有料会員とは、有料プランに加入しているお客様を指すものとします。
お客様がMidjourneyに与える権利
本サービスを利用することにより、お客様はMidjourneyとその後継者、および譲受人に対して、お客様が本サービスに入力したテキスト、および画像プロンプト、またはお客様の指示により本サービスが作成した資産を複製、派生物を作成、公に表示、公に実行、サブライセンス、および配布する永久、世界、非排他、サブライセンス可能、無課金、取消不能の著作権ライセンスを供与します。このライセンスは、理由の如何を問わず、いかなる当事者による本契約の終了後も存続します。
あなたの権利
上記のライセンスに従い、お客様は、現行法の下で可能な範囲で、本サービスを使用して作成したすべての資産を所有するものとします。ただし、他人の画像をアップスケールすることは除外され、その画像は元の資産作成者に所有されます。Midjourneyは、あなたに適用される可能性のある現行法に関して、いかなる表明または保証も行いません。あなたの司法管轄区における現在の法律の状態について、より詳しい情報が必要な場合は、あなた自身の弁護士に相談してください。お客様が作成した資産の所有権は、その後の月においてお客様がメンバーシップをダウングレードまたはキャンセルした場合であっても存続します。ただし、以下の例外に該当する場合、お客様は資産を所有しないものとします。
あなたが年間総収入100万ドル以上の会社の従業員またはオーナーで、あなたの雇用主を代表して本サービスを使用している場合、あなたが作成した資産を所有するためには、あなたの代わりに本サービスにアクセスするすべての個人のために「プロ」メンバーシップを購入する必要があります。お客様の利用が雇用主の代理として適格であるかどうかが不明な場合、適格であると仮定してください。
お客様が有料会員でない場合、お客様は作成した資産を所有することはできません。その代わり、MidjourneyはCreative Commons Noncommercial 4.0 Attribution International License(以下「資産ライセンス」)に基づき、資産に対するライセンスをお客様に付与します。
全文は発効日現在、こちらからアクセスできます:https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/legalcode.
注意:Midjourneyはオープンなコミュニティであり、あなたの画像やプロンプトが公共の場に投稿された場合、他の人がそれを使用したりリミックスすることができます。デフォルトでは、あなたの画像は一般に閲覧可能であり、リミックス可能です。上記のように、お客様はMidjourneyにこれを許可するライセンスを付与します。「プロ」プランを購入した場合、これらのパブリック共有のデフォルトの一部を回避することができます。
お客様が「プロ」サブスクリプションの一部として、または以前に利用可能なアドオンを通じてステルス機能を購入した場合、当社は、お客様が本サービスにおいてステルスモードを作動させたいかなる状況においても、お客様が行った資産を公表しないよう最善の努力をすることに同意します。
Discordチャットルームなどの共有スペースやオープンスペースで作成した画像は、ステルスモードが有効かどうかにかかわらず、そのチャットルームにいるすべての人が見ることができることに注意してください。
憲法の解釈
著作物とは
著作権法 2条1項より
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
> 作風は表現には含まれないので著作物とはならない。
著作者とは
著作権法 2条2項より
著作者 著作物を創作する者をいう。
> ①画像生成AIのサービス提供者、②画像生成AIを利用して画像を生成したユーザ、③画像生成AIの学習データとなった画像の作成者 の3者の可能性がある。
今回のケースでは、①はMidjourneyになるが、上記のMidjourneyの見解で、有料プラン加入ユーザについては、②と名言している。そのため、揉めるとすれば、②と③になりますが、学習データが公表されない以上、③を証明することは出来ません。
プロンプトの注意点
アニメのキャラクター名を使用する場合
以下に注意する必要があります。
・商標機能
・自他商品等識別機能(自社の商品・サービスと、他社の商品・サービスとを区別する機能)
・出所表示機能(商品の出所を表示する機能)
・パブリシティ権(有名人や著名人などの自己の氏名や肖像等が、商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合、対価を得て第三者に排他的に使用することができる権利)
人物名を使用する場合
以下に注意する必要があります。
・パブリシティ権(有名人や著名人などの自己の氏名や肖像等が、商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合、対価を得て第三者に排他的に使用することができる権利)
・肖像権(無断で写真や映像を撮られたり無断で公表されたり利用されたりしないように主張できる権利)
著作物の僭称問題
僭称とは、自分が制作したと偽って他人の著作物を自分の作品として発表することを言います。高度な生成AIの登場により、人の作成したのか、AIが生成したのか区別がつかなくなるため、著作権を主張するために人が生成したと主張される恐れがあります。しかしながら、これは著作権侵害にあたり、著作者の権利を侵害するものです。
著作権法121条
著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。